プロセスマイニングプロジェクトを実行するための基本的な体制と、それぞれの役割について概説します。
プロジェクトチームの主要メンバーは基本的には以下の6人です。
プロセスマイニングプロジェクトを仕切るのは、「プロジェクトマネージャー」です。プロセスマイニングの分析対象となる業務プロセスは、しばしば複数の部門をまたがるものになります。例えば、受注から、製品の納品、請求書の発行、入金確認までのプロセスでは、営業、製造、総務、経理などの部門が関わることになるでしょう。
したがって、プロジェクトマネージャーは、部門横断のプロセス全体の流れを理解している立場にあることが求められます。もちろん、プロジェクト管理スキルを有していることが望ましいでしょう。
イベントログデータの抽出を担当するのが、システムを熟知した「システム管理者」です。現在、システムやアプリケーションがどのように構成され、連携しているのか、また各種ログがどこにあるかを特定し、データアナリストの指示に基づき、必要なイベントログデータを抽出する作業を行います。いわゆる、情報システムに強いエンジニアの役割です。
データアナリストは、データ分析のスキルや経験を持ち、データ分析の視点から、プロジェクトの目的の設定、目的に照らしたイベントログデータの特定、データ分析方法の検討、イベントログデータのクリーニングを行います。
また、ビジネスアナリストと共に、分析結果の解釈に関わり、データの視点から、業務プロセスの問題点抽出を支援します。
ビジネスアナリストは、業務プロセス管理(BPM:Business Process Management)に通暁し、プロセス改善のための手法を駆使して具体的な改善策の立案、実行を担います。しばしば、外部の業務プロセスコンサルタントが業務委託を受ける形でチーム編成が行われます。
各部署で、実際に業務プロセスを回している現場担当者は、イベントログ分析からは見えてこない、現場の真実を知っています。
「なぜ、無駄なプロセスが行われているのか」、「なぜ、標準プロセスから逸脱してしまうことがあるのか」、業務プロセスの問題が生じる「根本原因」を解明する手がかりを持っているのが現場担当者です。したがって、プロセスマイニングプロジェクトを実行するに当たっては、現場担当者が持っている生の知識、情報が不可欠です。
また、問題解決のための対応策の検討においても、現場担当者に確認しながら、実行可能性や緊急性、対応策実施を阻むかもしれない懸念事項を押さえることで、対応策の確実な展開を可能にします。
プロジェクトオーナーは、プロジェクトに必要な予算やチーム編成のためのアサインの権限を持つ方であり、部長クラス以上の方が引き受けるべきポジションです。プロジェクトオーナーは、プロジェクト進捗を確認しながら、プロジェクトの大きな舵取りを行います。
また、プロセス改善のための対応策は、システム改修や、組織の見直し、業務プロセスの根本的組み直しなどの大きな取り組みになることもあるため、全社的なアクションに対して相応の権限を有している必要があります。
これまで説明してきたプロジェクト体制は、PoCのプロジェクトや、プロセスマイニングツール本格採用後の「導入フェーズ」における体制です。もし、社内リソースでは賄えない役割がある場合、データアナリスト、ビジネスアナリストについては、外部コンサルタントに参画してもらうことも可能です。
では、運用段階の体制はどのようなものになるでしょうか。
運用段階では、改善されたプロセスの効果検証を行い、必要な追加改善を行う「モニタリング」が主となります。したがって、プロジェクトチームはいったん解散し、モニタリングを行う担当者をアサインする必要があります。
例えば、品質管理部、あるいは経営管理部など、適切と考えられる部署に業務プロセスの継続的モニタリングを行ってもらい、大きな改善が必要な場合には再び部署横断型のプロジェクトチームを立ち上げることになるでしょう。
なお、プロセスマイニングツールの操作は担当の方が自ら行ってもらう必要がありますが、モニタリングの仕組みや方法は導入段階で設計・実装済みであり、高度な操作が必要になる場面はほとんどありません。トレーニングを受ければ、基本的な操作は問題なく実行可能です。
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