イタリアの大手銀行の一つ、「Credem銀行」は近年、銀行ローンの申し込みが400%の伸びを示した年もあるなど、ローンに対する需要が増大しています。
現在、銀行ローン商品におけるCredemの市場シェアは3−4%程度に止まっていますが、同行独自の価値提案を行うことでローンの新規顧客獲得に力を入れています。
ただし、膨大な数のローン申請を処理しなければならない現状を踏まえ、同行ではローン処理プロセスをより深く理解し、プロセスの改善・最適化に取り組む必要性を感じていました。
そこで、以下の目的の達成を目指してプロセスマイニングのプロジェクトを立ち上げました。
Credem銀行では、プロセスマイニングを実行するため「myInvenio」を採用し、ローン処理プロセスに関わるイベントデータを抽出して分析を行いました。
ローン処理プロセスといっても、全ての支店・担当者で同一の手順を踏んでいるわけではなく、それぞれ手順が異なっているケースも多かったのです。したがって、様々なバリエーションが存在していることがわかっていたものの、そのバリエーションの数が多すぎるために業務プロセスをモデル化すること、すなわちフロー図のような形で可視化することは困難でした。
しかし、myInvenioによるプロセスマイニングにより、イベントデータからCredemのローン処理プロセスのすべてのパターン(バリエーションは2,000パターンを超えていました)を自動的にモデル化することが可能となっています。
また、myInvenioの分析結果から、ローン処理プロセスのリードタイムが長くなってしまう原因が「繰り返し業務(Rework)」にあることを発見することができました。
繰り返し業務とは、書類の不備等のために顧客に書類の再提出を求めるなど、同じ案件に対して業務が繰り返されてしまう状況です。Credem銀行の場合、全案件のうち、30%に繰り返し業務が発生していました。
たとえば「ローン申請受付」という業務においては、全4,000件のうち1,725件において繰り返し業務が発生しており、平均繰り返し回数は2.31回にもなっていました。
また、「契約書承認」においては1,264件で繰り返し業務が発見され、平均繰り返し業務は2.3回と、ローン処理プロセスの初期の段階での繰り返し業務の多さが問題として認識されました。
さらにCredemにおける業務の「職掌」に関しての問題も、myInvenioの分析結果からあぶり出されました。
たとえば、ローン審査に不可欠の業務である「不動産鑑定」を行うのは、銀行の融資本部の役割と決まっているのに、現実には一部の支店で不動産鑑定が行われていたのです。
myInvenioの分析結果から、どの支店が本来の職掌を超えて不動産鑑定の業務を行なっていたかを調べることが可能です。そこで、Credem銀行では早速該当支店とともに「不動産鑑定がなぜ支店で行われているのか」という問題について解決を図りました。
Credem銀行ではまた、ローン処理プロセスが未完了の案件についてもプロセスマイニングによる「予測分析」を行なっています。
未完了の案件、言い換えると現在処理中の案件について、myInvenioでは以下のような予測分析結果を導き出すことができます。
上記に加え、現行プロセス(as isプロセス)の分析を従来の方法で行なっていた場合の予算と比較して、プロセスマイニングでは人時費用ベースで70%もの削減となり、プロセス分析自体に係る費用の大きな節約につながったのです。
新システムリリース後のリスクを回避し、大幅な業務費用の削減を達成
大手自動車メーカーA社では、15年利用してきたERPシステムを刷新するに当たって、現状の業務プロセスを可視化し、業務プロセスを改善することに取り組みました。
プロセスマイニングで、銀行ローンの処理プロセスを改善
〜70%のコスト削減を実現〜
膨大な数のローン申請を処理しなければならない現状を踏まえ、同行ではローン処理プロセスをより深く理解し、プロセスの改善・最適化に取り組む必要性を感じていました。
株式会社IHIが、プロセスマイニングツール、「myInvenio」を2019年11月より正式採用
本社、およびグループ会社での業務改革推進に、IHIではハートコア株式会社が提供するプロセスマイニング・ソリューションの活用を開始しました
お客様の課題に対し、ファクト(データ)に基づいた共通認識を持って意思決定する、 「Apromore」×「AppSQUARE」で業務プロセス改善×DX推進の“土台”を構築します