プロセスマイニングとは? - 生産性向上に必須の技術!理由と詳細を紹介
「重要そうだけど、プロセスマイニングとは結局何かいまいち分からない…」「日々の業務に追われているけど、だからこそプロセスマイニングとは何か理解したほうが良い気がする」などと考えていませんか?
プロセスマイニングとは「RPAに続く次の大波」で、今後の日本で重要になると言われている技術です。そこで今回、プロセスマイニングツールの提供や導入を支援している弊社が、プロセスマイニングとは何かという基礎的なことからメリット、今後必須になると考えられている理由を解説していきます。
プロセスマイニングとは生産性をあげる手法
プロセスマイニングとは自社で行われている業務を記録や可視化、分析をして業務の効率化を実現していく改善手法です。欧州で2010年代に広がり始めたとされ、売上や利益率のアップ、働き方改革の実現などに役立ちます。
たとえば反復作業を自動化してくれるRPAは普及が進んでいますが、最大限活用するには業務を洗い出す必要があり、プロセスマイニングが必要になります。また、同じ業務なのにベテラン社員と若手社員で生産性が異なるなら、ベテラン社員の業務手順などをプロセスマイングで分析して、若手社員に反映すれば生産性が上がるでしょう。
一例をあげれば、受注から入金までの事務処理という業務は下図のように分解できますが、ベテランと若手で仕事の速さが違っているならプロセスのどこかで無駄が発生していることになります。
各社員が業務プロセスでやっていることを解析すれば、スキルや習熟の違いから生まれる業務効率のばらつきを可視化できます。そして、最効率の業務手順を標準化したりRPAなどのツールを活用したりすれば、業務効率が上がるというわけです。
このようにプロセスマイニングは業務の分析と改善ができる手法ですが、業務の全行程の可視化などを人力でやるのは現実的でないので、後述するプロセスマイニングツールを活用します。プロセスマイニングツールを活用すると、下図のような業務フローを自動で作成できます。
ちなみに自動で業務の記録や分析ができる他にもセキュリティ性の向上といったメリットも得られます。
今後プロセスマイニングが重要と言われる理由とは?
今後の日本においてプロセスマイニングは重要になると考えられています。代表的な理由は以下の2点です。
- 働き方改革企業体質の改善や人事評価の刷新
- 今後減る一方の労働力の確保
企業体質の改善や人事評価の刷新
プロセスマイニングは、企業体質の改善や人事評価の刷新に大きな効果を発揮します。ボトルネックの削減やリソースの最適な割り当てができるからです。
プロセスマイニングが効果を発揮する企業の中には、いわゆる大企業病やセクショナリズムによって業務効率が落ちたり、費用対効果の見合わない社員の存在に悩まされていたりする企業が少なくありません。対策として大企業を筆頭に業績が好調でも先行型・黒字リストラに踏みきる企業も増えています。
たとえばキリンホールディングやセブン&アイ、アステラス製薬、カシオ計算機などは、業績が好調だったにも関わらず新陳代謝や成果に基づいた制度導入への反発防止を理由に大規模なリストラを2019年にしています。 結果として2019年はリストラの対象人数は1万1,351人となりました。この数値はコロナ禍によるリストラが急増した2020年(1万8,635人)に近いものです。
しかし、高年齢者雇用安定法などの存在から40代50代のリストラを安易に行ってしまうと、不可欠な人材が流出してしまうリスクが発生します。そこで、プロセスマイニングが重要になります。プロセスマイニングをすれば、以下のような課題を正確に浮きぼりにでき、ジョブ型雇用や成果主義の導入や外注や自動化したほうが効率的な業務の発見に役立つからです。
- 価値を生まない無駄な業務
- リードタイムが長くなる元凶となっているボトルネック
- 要員配置計画の不適合による処理の遅れ
上記のような問題があると認識しているものの抜本的な対策が打てていないなら、プロセスマイニングは大きな成果を上げてくれることでしょう。特に後述する「デジタルツイン」という現実を再現するシミュレーションを活用すると、一歩ふみこんだ施策を打てます。
今後減る一方の労働力の確保
プロセスマイニングは、労働力の確保にも貢献します。社員の生産性の向上やRPAといった自動化技術の運用を最適化できるからです。
日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人工)は下図のとおり減る一方であり、働き手の確保も難しくなる一方です。
労働力の確保は難しくなる一方であり、国内で自社の売上やシェアを維持するには社員の生産性のアップが不可欠と言えます。RPAなどの自動化技術は有用な解決手段ですが、導入しただけでは効果を発揮せず、きちんと自社の業務状況を分析したうえで正しく運用しなければなりません。業務状況の分析と改善を確実にしていけるプロセスマイニングに取り組むことが前提と言えるでしょう。
また、MAやSFA、CRMを導入しているなら、プロセスマイニングをすることで売上をさらにアップしたりムリ・ムダ・ムラを減らしたりすることにも期待できます。
プロセスマイニングツール導入で得られる主な効果3つ
プロセスマイニングツールで得られる効果はさまざまありますが、代表的な効果は以下3つです。
- 生産性や利益の向上
- 働き方改革の促進
- 顧客と従業員の満足度向上
プロセスマイニング全体の流れは下図のとおりで、プロセスマイニングツールは赤字部分を自動化してくれます。
上の図のイベントログとは、業務をこなすのに必要な1つ1つの行動(操作履歴)です。プロセスマイニングをきちんと行うには、数百から数千万ものイベントログが発生するので、プロセスマイニングツールは必須と言えます。そして、きちんとプロセスマイニングをおこなうことで、先の3つの効果を得られるというわけです。3つの効果の詳細を解説していきましょう。
生産性や利益の向上
生産性や利益の向上は、タスクマイニングツールの導入で得られる代表的なメリットです。プロセスマイニングで生産性が上がるということは、利益がアップしたりコストを削減できたりするということを意味します。同じ社員数・業務時間でより多くの仕事ができるようになり、取引の拡大や契約の獲得などにも期待できます。
働き方改革の促進
プロセスマイニングツールの導入は働き方改革の促進にも有効です。そもそも働き方改革は生産年齢人口の減少や先進国と比べて低い生産性の改善などを目的に取り組まれている施策です。全19の対応策が打たれていますが、時間外労働の上限規制や定年延長の支援と高齢者のマッチング支援といった対応策にプロセスマイニングが役立つと考えられます。
顧客と従業員の満足度向上
アウトプットが早くなったり長時間労働が是正されたりするので、プロセスマイニングツールの導入は顧客と従業員の満足度の向上にも役立ちます。RPAなどと組み合わせることで、単純作業からの解放とコア業務への集中を目指せます。
プロセスマイニングツールの具体的な機能2つ
細かく機能を紹介するときりがありませんが、最初に知っておくべき代表的な機能としては以下2つがあげられます。
- 業務の可視化とボトルネックの発見
- 改善案のシミュレーション
それぞれ詳しく解説していきます。
業務の可視化とボトルネックの発見
プロセスマイニングツールは社員の行動を自動でデータとして収集し、タスクごとに構造化して記録します。ボトルネックとなっている業務を視覚的に把握したり、より効率的な実行方法を発見できたりします。
改善案のシミュレーション
プロセスマイニングツールは業務のシミュレーションもできます。現実と同じ動きをするモデルを使い、いきなり現実には試せないような生産条件を試したり、プロセス効率化のテストをできたりするわけです。イメージにすると下図の右側にあたります。
ちなみに先に紹介した業務の可視化などは上の図の右側に該当します。左右の工程を一貫してプロセスマイニングツール上で行っていくことで、業務を最適化していけます。
導入事例
プロセスマイニングツールの導入事例を2つ紹介していきます。なお、導入したツールは両社とも「myInvenio」です。
大手自動車メーカー
大手自動車メーカーA社では、長年利用してきたERPシステムを刷新する必要があり、プロセスマイニングツールを導入しました。現状の業務プロセスを可視化と改善に取り組み、品質管理の向上や大幅な業務費用の削減を達成しています。
というのも、検査プロセス7500件のうち2500件に逸脱プロセスが見つかるといった発見があったからです。また、従来の業務プロセス可視化の手法と比べて費用を30%削減できたのも、プロセスマイニングツールを使用したメリットだと言えるでしょう。
イタリア大手銀行
イタリアの大手銀行の1つである「Credem銀行」は、ローン処理プロセスに関わるイベントデータをプロセスマイニングツールで抽出して分析を行いました。分析の結果として、 全案件のうち30%に繰り返し業務が発生しており、ボトルネックとなっているのが判明しました。
ちなみに具体的な数値化もしており、一例としては契約書承認なら全4,000件のうち1,725件で繰り返し業務が発生、平均繰り返し回数は2.31回といった具合です。
プロセスマイニングツールにて短時間で終わらすモデルを構築して改善し、その後も継続的に処理中の案件をツールで監視しています。
まとめ:プロセスマイニングをやるなら早いほうがより良い
プロセスマイニングとは業務の効率化を実現していく改善手法で、今後の日本企業に重要といわれています。そして、いずれ導入するなら早いほうがより良いと言えるでしょう。効率が悪いまま日々の経営をしているということは、それだけ機会損失を出しているということになるからです。ぜひ、プロセスマイニングツールの導入を検討してみてください。
なおHeartCore社では、高機能・高性能なプロセスマイニングツールとして定評のある「myInvenio(マイインヴェニオ)」の販売しており、詳細なPC操作ログを収集するためのタスクマイニング ツールの「CONTROLIO(コントローリオ)」も提供しています。